バティックの柄や模様の種類や意味は？
簡単な見分け方は？

インドネシアのバティックの柄や模様について

インドネシアのバティックの柄や模様には、民族的な伝統とか歴史の意味があります。

なかには、戦争や植民地時代の影響を受けているモノなども。

多民族国家、世界一島国の多い！？とも言われる、多様性のあるインドネシア。

いったい、どんな柄や模様、種類のバティックがあるのでしょう。

代表的な産地は、ジョグジャカルタ、スラカルタ（ソロ）、プカロンガン、チレボン。

この4つの地域。

ジャワ島中部のジョグジャとソロ産のバティックは、王宮文化、宮廷美術として、バティックが発達しました。

もともとは、王宮のシンボルだったそうです。

では、残り2つの産地。

ジャワ島北岸部のプカロンガンとチレボンはというと。

他国の文化交流の影響を受け、西洋・中国の柄や模様の華やかなバティックが、作られるようになりました。

このように！

歴史背景や地域文化から、ジャワ中部と北岸部では、バティックの色柄や模様、モチーフの雰囲気が大きく変わっているのですねっ。

ソロ産バティックの柄や模様の種類と意味

世界無形文化遺産に認定された
インドネシアのバティック

インドネシア国内の中でも、いまでも王朝や王族・王様が暮らし、昔から続く伝統と格式のある古都ソロとジョグジャカルタ。

昔ながらの王宮文化をいまに伝える、古い町並みが整然と続き、たくさんの職人さんと工房がにぎわいう街です。

日本では『ジャワ更紗』と呼ばれ、王族しか使用できない禁制模様や伝統柄など意味のあるバティックとして有名。

いまでも伝統を守り、様々な種類のソロ産のバティックが作られ、世界でもバティック作りが最も盛んな地域なのですよっ。

ではでは！

これぞ、インドネシアのバティック、ジャワ更紗！

伝統的な王家の色柄を、ご紹介いたしますっ♪

パラン柄の模様と意味

インドネシアで、最も古い模様のひとつであるパラン柄。

王とその子孫だけが着ることができる禁制模様です。

文字Sのように絡みあったモチーフは、連続性を象徴。

海の波の形を元にしたもので、消えることのない精神を表現しているそうです。

知恵と正義、強い精神力、ゆるぎない優しさという意味があります。

また、海岸に広がる岩をデザインされたとし、保護と安全のシンボルとの説もあるそうです。

他にも、「パランルサック」「パランクスモ」「パランクリティック」「パランバロン」等があります。

シド・ダルジャッド柄の模様と意味

ジョグジャカルタ宮殿の古典的なデザイン。

結婚式で着用されることが多く、幸福、繁栄、幸運、出世を願う意味を持つそうです。

シド・ルフール柄の模様と意味

高い地位を獲得し、コミュニティ（貴族）の指導者になることを願ったデザイン。

シド系には、シド・ダルジャッド、シドムクティ、シドルムリョなど数種類あります。

プラブ・アノム柄の模様と意味

『Prabu』は王、『Anom』は若いことを意味する言葉です。

将来、王位を継承する王子のみが着用できる王族禁制の柄。

国の高貴な文化を保護し、維持することが出来るという意味が込められています。

現在では、ジャワの妊婦が妊娠7ヶ月に行われる儀式で使用され、生まれてくる子供たちの安全と幸せを願う意味があります。

スカール・ジャガット柄の模様と意味

このバティックパターンは、18世紀に発展し始めました。

オランダ語の地図『kar』と、ジャワ語の世界『jagad』を組み合わせた言葉が名前の由来。

インドネシアと世界に存在する、すべての多様性を象徴するとされています。

他にも、インドネシア語でスカールは「花」という意味もあり、美と愛と幸福の願いもあるそうです。

カウン柄の模様と意味

正方形のような七宝柄は、ジョグジャカルタと中部ジャワ・スラカルタの代表的な柄。

パラン柄と同じく、王族の血筋を持つ者だけがそれを着用することを許されていた禁制模様のひとつ。

七宝柄の他にも、椰子の木の模様も有名なデザインのひとつ。

今では現代風にアレンジされてデザインも豊富になり、砂糖椰子の実を輪切りにしたような模様も有名です。

などが、代表的なソロ産バティックの模様です。

王家、王族だけが使う事を許された、各文様モチーフや模様の種類には、願いや意味が込められて製作されてきました。

さまざまな幾何学模様、南国の花々や鳥たちがいきいきとそして大胆に描かれ、パッ！広げるたびに変わるさまざまな表情のバティック。

『巻く』だけでなく、ワンピースや男性のメンシャツとしてお洋服に仕立てたり、クッションカバー、お着物の帯や日傘などなど。

自分風にリメイクするのもオススメです。

インドネシアの伝統の布『バティック』から生まれる、奥深い空間と雰囲気を楽しめますよ～♪

※人や時代によって諸説解釈がありますが、一般的にはこのように伝わっています。

プカロンガン産バティックの柄や模様の種類と意味

香り豊かなセンスが光る、
ヨーロピアンテイストのプカロンガン産

プカロンガン産のバティックと言えば、何と言っても♪

華やかな色使いと、お花のブーケ柄。

絵画のように布一面を使い、大きな花や花束、動物の柄大胆に、細かな線で美しくモチーフを描くのが特徴です。

オランダや西洋文化の影響を受け、絵葉書や陶器などからヨーロッパ風のデザインを取り入れられました。

また、1940年頃の日本植民時代の影響を受けた『バティッ・クホウコウカイ』。

桜をモチーフにしたバティックなど。

日本文化とも、深いつながりがあったりするのですよ。

パギ・ソレ（Batik pagi sore）柄

一枚の布に、2種類の柄を描いた絵柄『パギ・ソレ』

プカロンガン産バティックの代表的な模様のひとつです。

意味は、インドネシア語で、

午前を『パギ pagi』、午後を『ソレ sore』

といい、巻き方によって、

午前と午後に見せる模様を、変えることができるコトから、呼ばれるようになったそうです。

スカートの前後ろのように、気分で模様を変えれるなんて～♪

女子ゴコロをくすぐる、とっても素敵な絵柄ですねっ。

チレボン産バティックの柄や模様の種類と意味

繊細なトゥリス（手描き）の魅力♪
重なるグラデーションと雨雲模様

ジャワ島の北岸に、チレボン（チルボン）という港町があります。

チレボンは、かつてのチレボン王国の都。

宮廷内を中心に、古くから良質なバティックの産地として有名な町です。

北岸様式のチレボンバティックは、様々な文化の影響がその模様に色濃く反映され、特に！

中国の影響が強い、種類の柄と意味がある事で知られています。

メガムンドゥン柄

雨雲をかたどった『メガムンドゥン』模様

メガムンドゥンバティックは、雨雲のモチーフを少しずつ色の濃さを変え、同系色のグラデーションで描かれます。

雲の層が多いほど、手間のかかった貴重な1枚となり、芸術性の高い作品とし取り扱われ希少価値の高いバティックのひとつ。

アンティークとし、世界中にコレクターがいるコトでも有名！

また、楽器や家屋、ウッドクラフトなど あらゆる物にこの柄が使われ、今では生活の一部として愛されています。

簡単なバティックの見分け方！

ソロ産バティック

伝統的な茶系の色の美しさと、
ジオメトリック柄・幾何学模様

ソロ産バティックの見分け方は、茶系・渋めの黄色ベースが見分け方のポイントです。

茶系の『ソガ』『ソガンカラー』色と呼ばれ、王族しか使用できない絵柄や幾何学模様、南国の花々や鳥たちがイキイキと大胆に描かれています。

男性のシャツに仕立てたり、落ち着いた雰囲気を出したい女性におススメです。

パターン柄は、着物や帯、クッションカバーやテーブルクロスに使用するのも素敵。

上品で洗練された色彩からは、中部ジャワ様式の古都の歴史が感じられる1枚です♪

また、インドネシア大統領が、世界遺産認定を祝い国民文化の一つとして、バティックの着用を呼びかけるなど！

世界レベルの技術と伝統を、インドネシア国内に伝えています。

プカロンガン産バティック

ダントツ人気の高い！
花柄＆パステルカラー

プカロンガン産バティックの見分け方は、色柄にあります。

外国文化の影響を受けた北岸様式のバティックの中でも、特に美しい明るい色彩のプカロンガン産バティック。

やわらかで華やかな色使いのフェミニンなバティックで、ブケット（花束）の絵柄や、一枚の布に2種類の柄を描いた『パギ・ソレ』という絵柄が特徴です。

『バティック・プカロンガン』をバリ雑貨の中にコーディネートするだけで、お部屋がパッと華やかな印象に。

渋めの彩りが多いインドネシアのバティックの中に、ふ～んわり優しく可愛い演出にを漂わせてくれますっ♪

また、女性のスカートやワンピースなど、お洋服に仕立てるのに人気のバティックです。

チレボン産バティック

渦巻きのような雲柄模様

チレボン産バティックの見分け方は簡単！

渦巻きのような、雲柄のバティックを見たことがある人も多いのではないでしょうか？

紺や、青と赤、黒を組み合わせたハッキリとした鮮やかな色彩。

16世紀に建国された、チレボン王国に中国から嫁いできた王妃の影響から、中華色が強いのが特徴です。

一色ごとに手描きでロウを置き・染色・乾燥という工程を繰り返すため、色の多い物・模様の細かいものほど手がかかり、高価な物になります。

遠目で見たときの鮮やかなグラデーション（雲の層の数）と立体感、そして迫力が良品の証。

そして、良質な布の方が、グラデーションが鮮やかに出るため、高級という事になります。

この他にも、中国モチーフや青系、白地に人物や動物が描かれているのも、チレボン産バティックの見分け方です。

ではではつぎは！

バティックの使い方や着こなし方について！