芸術の村と呼ばれるウブドは、世界中からのアーティストが集まる芸術村。
バリ島の古典画と西洋美術が出会った、美術館とギャラリーをご紹介~☆
バリのアートとは?
街中に点在する美術館やアートギャラリー。
のんびりお散歩してみると、家の玄関に小さく掲げられた、ペインターと書かれた看板。
ちょっと覗いてみると、キャンパスいっぱいに描かれた、ため息が出るほど細かく緻密な墨絵や、美しい花々や鳥が鮮やかに描かれたとても南国らしい絵だったり。
バリの絵画には沢山のスタイルがあります。
昔は寺院や王宮などを飾るための芸術だったものが、年月をかけ、西洋の絵画技法を取り入れ発展していきました。
古典的なものから新しいアートまで、バリ芸術の魅力をご紹介~♪
バリ島の中心に位置するウブド(Ubud)は芸術の村と称される、伝統芸術、芸能が盛んな場所。
いたる所に美術館やアートギャラリーが点在し、村の中心地のウブド王宮を始め、 あちこちで催されるバリ舞踊や美しい音色のガムランが響きます。
■ なぜ芸術家の集まる場所になったのでしょうか?
1930年代、南国の楽園、『バリ島』に魅了され、多くの芸術家がウブドに滞在するようになりました。
イツ人画家のウォルター シュピース(Walter Spies)、オランダ人画家のルドルフ ボネ(Rudolf Bonnet)、アーリー スミット(Arie Smit)など、宗教的要素が強く平面的だったバリの絵画に西洋の絵画技法を吹き込み、現在のバリアートの基盤を作った人物です。
彼らはバリの芸術家たちに絵を描かせ、毎週ウブドの王宮前での品評会を開き、バリアートが発展していきました。
■ バリ絵画には大きく分けて、5つのスタイルがあります。
- バリ芸術の原点となっているカマサンスタイル(Kamasan Style)
- キャンバスいっぱいに描かれた細密画の様なバトゥアンスタイル(Batuan Style)
- 人々の生活が生き生きと描かれたウブドスタイル(Ubud Style)
- 花鳥風月の自然美しいプンゴセカンスタイル(Pengosekan Style)
- 既存のスタイルにとらわれない、 色鮮やかなヤングアーティストスタイル(Young Artist Style)
ウブドに住んでいたウォルター シュピースやルドルフ ボネによって、平面的だった古典的な絵画に遠近法、陰影法、芸術解剖学が取り入れられました。
このことによって、より立体的に人物に描かれるようになり、バリ絵画に新しい風が吹き込まれました。
これがバリルネッサンスと呼ばれる時代です。
絵画だけではなく、彫刻、芸能、音楽の全ての芸術が世界に発信され、注目されるようになったんですって!
この時代の人たちは、海外から入ってくる新しいものにワクワクし、次々と芸術が開花していった時代なんだろうなぁ。
想像するだけで私も楽しくなってきちゃう~。
そして1960年代になると、ウブドの近郊の村、プネスタナンに住むアリー スミットによって、暗い印象だったバリの絵画に鮮やかな色彩を与えました。
ヤングアーティストスタイルやプンゴセカンスタイルのような鮮やかな絵画の誕生です。
豊かな自然に囲まれたウブドエリアで生まれた絵は、地元の芸術家たちにによってグループが結成され、色々なスタイルに変貌しています。
ですが、古典的な芸術が廃れる事もなく、新しいアートと共存しているのが素晴らしい。
お互いを尊重し合っているのですね。
昔は芸術として自己表現する『アーティスト』ではなく、
寺院や王宮を飾るための芸術を作りだす『職人』という感じでした。
現在ではバリアートとして、バリ島独特の世界観が注目されるようになっています。
■ ウブドで絵画を鑑賞するには?
ウブドにはプリルキサン美術館(Museum Puri Lukisan)、ネカ美術館(Neka Art Museum)、アルマ美術館(Arma Museum)の3大美術館があります。
ネカ美術館では、バリの歴史が年代的に紹介され、バリ絵画の進化を見る事が出来ます。
バリ島の歴史だけではなく、絵の中には、生活習慣や宗教的な要素もたっぷり詰め込まれているので、バリ島を理解するにはとってもわかりやすかったです♪
バリ島の絵画スタイルに大きな影響を与えた、アリー スミットの作品が多くみられるのも特徴。
初めてバリの絵画に触れる人にオススメ!
また、プリルキサン美術館はウブドセントラルにも近いので、フラっとお散歩ついでに寄れる場所。
もっとも歴史ある美術館で、特にカマサンスタイルの所蔵は一番では?
芸術家共同体『ピタマハ(Pita Maha)』によって作られたこの美術館は、貴重な作品を見る事が出来ます。
そしてアルマ美術館は、同じ敷地内にホテルがあり、大きな敷地で迷ってしまいそう!
美しい花が咲く庭園をお散歩するだけでも充分楽しめます。
アルマ美術館は3つの美術館の中での所蔵数は一番!
美しい田園風景を描くウォルターシュピースの絵も見る事が出来ます。
1日かけてじっくりと鑑賞したい美術館です。
敷地内では、木彫りの職人さんが美しい彫刻を作っていたり、踊りの練習をしている子供達がいたり。
絵画だけではなく、バリの芸術が楽しめる場所ですよ!
バリ絵画や踊り、木彫りやバティックなどバリの芸術が学べるワークショップをやっている場合があります。
バリ芸術を体験して素敵な思いでを作るのもいいかも!
■ 今回は、世界的に活躍するバリアートの巨匠に会ってきました!
バトゥアンスタイルで有名なマデ ブディ(I Made Budi)さん。
彼の作品はジャーナリズム的な要素を持ったものや、観光客の姿をユーモラスに描くものが多くあります。
”Happy In Bali”という題名がついた作品は、空には龍が舞い、ヒンドゥーの神様が見守る中、海ではサーフィンを楽しむ観光客の姿が描かれるという、なんとも遊び心のある作品。
見ているだけで楽しくなってくる作品です!
今年で81歳になるブディさん、現在はもう絵を描いていないとの事ですが、以前はジャカルタ、オランダ、日本、スイス、ハワイ、バリなどでも個展を開いた経験もある実力派。
世界中にコレクターがいて、元レーガン大統領も彼の作品をバリ島のお土産で持ち帰ったと言われています。
ホワイトハウスに彼の作品が飾られているとか、いないとか!?(笑)
飛行機から降り立ったアメリカ大統領?
と、ガムランと踊りで出迎えるバリ人、カメラを構えた報道陣たち。
元レーガン大統領がモデルになっているのかな?
ひとつの絵の中に沢山の物語があり、描かれた一人一人の話し声が聞こえてきそう。
時間を忘れ、じーっと見入ってしまう作品ばかりで、ブディさんの描くバトゥアンスタイルの魅力にどっぷりと浸かってしまいました~。
彼の作品はネカ美術館で見ることができます。
お次は癒しのフクロウの絵のワヤン シーラ(I Wayan Sila)さん。プンゴセカンスタイルの、とっても愛らしいフクロウの絵を描く画家さん。
バリでは、妊娠をするとフクロウが鳴くという言い伝えのある、とっても縁起の良い動物。
オウルハウスのセキュリティーワンコ?
が元気よく迎えてくれて、本当に素敵な場所。
日本でいうと、コウノトリと同じ意味になるのかな?
ウブドの賑やかな通りから、田んぼの広がるビスマ通りを南下したところに、彼のギャラリー『Owl House(オウル ハウス)』があります。
その名もフクロウの家!
田んぼに囲まれた小道の先にある小さなギャラリー。
彼のコンセプトは『和み』。
絵を見るとホッとする、まさしく心の和む絵ばかり。
ギャラリーのある場所もゆったりとくつろげ、シーラさん自身も優しい笑顔で出迎えてくれて、全てが和みそのもの。
日本でも定期的に個展をやっているので、シーラさんの作品を生で見る事も出来ますよ。
2013年は9月に東京銀座のギャラリー悠玄で個展があるようです。
日本では小学校での文化交流をしたりと、とても精力的な活動をしているシーラさん。
世界中に『福』を呼ぶフクロウが飛んでいってほしいですね!
■ そして、現代バリアートの奇才と呼ばれる、ウェッチース(I Ketut Weces)のアトリエにもお邪魔しました♪
ウェッチースの描く絵は、しなやかな曲線で描かれる、とても優しく、愛のある作品ばかり。
古典的なバリ絵画のタッチとは違い、絵筆を使って、繊細でありながら躍動感のある線で描かれています。
眼光が鋭く、ちょっと怖い人なのかなーなんてドキドキしてしまいましたが、飾りっ気もなく、とっても温かい心の持ち主。
作品は、女性をモチーフにしたものが多く、頭の上にお供え物を載せて歩く姿や、バリ舞踊を踊る女性などの作品があります。
そのほかにも。
丸い顔のシリーズや自転車シリーズ、
彼の趣味でもある、
魚釣りシリーズ、
猿のモチーフなど。
彼のセンスにかかると、愛らしく、そして生き生きとした絵になるんですね。
最近は白いキャンバスではなく、バティックの生地を張ったお手製のキャンバスを使うことが多いんですって。
1つ1つの絵にもメッセージが込められていています。
その場で思ったことを書いていくので、後になると何を書いてあるのか本人でも分からないらしい(笑)
メッセージの内容は、愛についてだったり、家族についてだったり。
よーく見ると、絵の中にもハートが隠されてるんですよ!
彼の想いがたっぷりと詰まった作品です。
なんとっ!私の似顔絵も描いていただきました~!
サラサラッと10分程度で簡単そうに描いていますが、のタッチが優しく、愛のメッセージも込められています(笑)
まさか描いてもらえると思っていなかったので、大感激!
お部屋の一番目立つ場所に飾っちゃおうっと♪
彼の夢は、ウブドにアートゴミ箱を設置することだとか。
環境問題にも熱心で、これからの活動が楽しみなアーティストです。
ウブドの町中をよく見てみると、猿の森、モンキーフォレストの近くには、ユーモラスな猿の石像がたくさん置いてあったり、遊び心いっぱいなアートが溢れています。
色々なアーティストによって作られたアートゴミ箱なんて、とっても素敵☆お気に入りのゴミ箱が見つかったら、いつもそこにゴミを捨てに行ってしまうかも(笑)
彼のアートゴミ箱がウブドだけでなく、世界中に置かれるようになったらいいな~!
以前はウブドのゴータマ通りにギャラリーがあり、お店に絵を置かせてもらっていたようですが、現在は数点のみとなり、絵を見たい場合は、ウェッチースの自宅件アトリエに行くしかないのです。
彼の作品を扱っているインターネットショップやバリ雑貨もあるので、そこでチェックしてみてくださいね。
これからの進化も楽しみなバリの芸術。
ウブドにはプリルキサン美術館、ネカ美術館、アルマ美術館の3大美術館の他に、個人の美 術館やギャラリーも多く存在します。
1日で全て回るのは大変かも!ゆっくり時間をかけ、バリの芸術に浸るのもよいですね。
著名なアーティストの作品を買う場合は、本人のギャラリーに行くことをおススメします が、ちょっと飾るだけのお土産だったら、街中にあるお土産屋さんや、市場などでも購入 可能。
ただ、物によっては時間がたつと絵が割れてしてしまう場合もあるので要注意!
それと、木を使った額縁は気を付けて!
湿気の少ない日本では、木が歪んだり、割れてし まう場合もあるんだとか。
良くチェックして、お気に入りの一枚を見つけてくださいね!
バリアートを堪能して、大充実な1日でしたっ♪
プリルキサン美術館へのアクセス
■住所:
Jalan Raya Ubud
■開園時間 :
09:00~18:00
■入場料 :
50,000Rp(2013年5月現在)
https://museumpurilukisan.com/
ウブド王宮より、チャンプアン方面へ約250m進んだ右側。車・バイクで5分ほど。
ネカ美術館へのアクセス
■住所:
Jl.Raya Campuhan Desa Kedewatan
■開園時間 :
09:00~17:00
■入場料 :
50,000Rp(2013年5月現在)
https://www.museumneka.com/
ウブド中心地より、チャンプアン川の橋を渡り1kmほど北へ進んだ右側。
アルマ美術館へのアクセス
■住所:
Jl. Pengosekan Ubud
■開園時間 :
09:00~18:00
■入場料 :
50,000Rp(2013年5月現在)
https://www.armabali.com/museum/
ウブド中心地からプンゴセカン方面へ南下。
ガソリンスタンドを左折し、約150m進んだ左側。
美術館とギャラリーの違い
美術館とは、美術作品を飾る場所であり、入場料を払い、芸術を鑑賞する場所。
ギャラリーは美術作品を展示する場所で、誰でも入場する事ができ、絵の購入も可能です。
沢山のアーティストを扱うギャラリーや、個人のギャラリー兼アトリエとなっている場所もあります。
バリでは似たような作品も多く見かけますが、ペインターと呼ばれる絵の職人さんたちの作品となります。
著名な作品を買う場合は、信頼のおけるギャラリーで購入してくださいね。
バリ絵画の写真
■ バリ絵画に関する役立つインドネシア語&バリ語
美術館はどこにありますか?Di mana ada museum?
ディマナ アダ ムセウム?
この絵はどこで見れますか?
Di mana bisa lihat lukisan ini?
ディマナ ビサ リハッ ルキサン イニ?
この絵を買いたいです。
saya mau beli lukisan ini.
サヤ マウ ブリ ルキサン イニ
日本に送れますか?
ini bisa kirim ke jepang?
イニ ビサ キリム ク ジュパン?
絵を習うことが出来ますか?
Saya bisa belajar melukis?
サヤ ビサ ブラジャール ムルキス?
■バリ絵画で役立つ単語~インドネシア語&バリ語
● 絵画
Lukisan
ルキサン
● 美術館
Museum
ムシウム
● ギャラリー
Galeri
ガレリ
● アーティスト
Artist
アルティス
● 画法
Style
スタイル